医師法17条が脱毛で問題になるワケ
医師法17条 ----- : 医師でなければ医業をなしてはならない。
句読点をあわせても、たった19文字のこの一文が、レーザー脱毛のエステ VS. 医療機関 の戦いの焦点です。 名詞でいうなら「医師」と「医業」のわずか2つしかありません。
エステでの脱毛を考えるとき、この「医師法17条」に違反しているのかしていないのか、もっとわかりやすく言うと 「永久脱毛って医療行為なの?」っていうところが争点です。医療行為とは○○と○○と○○を指す、なんて条文が ないので、医者じゃなきゃ行ってはいけない行為を確認して、それ以外は医療行為じゃないよね。と判断しようとしています。 だから、医師法17条なんてものが話題に上るんです。」
そこでもう一度、
医師法17条 ----- : 医師でなければ医業をなしてはならない。
「医師」にだけ許された「医業」以外であれば、エステでも永久脱毛が行えるわけです。
では、医業とは何なのか
過去の判例および学説によると、「医業 = 医行為を業として行うこと」と解釈されています。
新たに2つの単語が出てきました。「医行為」そして「業」です。これもまた医師法に規定はありませんので、これまでの判例や学説から 判断することとなります。
まず、「業」とは
「反復継続の意思を持って不特定多数あるいは多数の者を対象」にすれば、それは「業」となります。
営利を目的とするか否かは関係なく、反復継続の意思をもってすればそれが1回の行為であっても「業」です。
緊急避難的になされる行為は反復継続の意思を持って行われることに入らないので除かれます。
そして「医行為」とは
「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為」を
「医行為」としています。
これをつなぎ合わせ、「医行為を業として行うこと」を言い換えると
「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為を、
反復継続の意思を持って、不特定多数あるいは多数の者を対象に行うこと」となります。
厚生労働省が医師法についての通達を出すときにも、この解釈が使われています。ただ、たまに表現が、
「医師が行うのでなければ保健衛生上危害の生ずるおそれのある行為」となっていたりしますが。
息抜きコラム
ボクたちは「医療行為」という言葉をよく用いますが、医師法においても医療関連法規においても「医療行為」という言葉は 存在していません。そのため、「医療行為=医行為」ととらえる場合もあれば、「医療行為>医行為」ととらえる場合もあります。 また、学者の中でも「医療行為<医行為」とする人たちもいるので、なんとも難しい言葉であることには違いありません。ただ、 「医行為」という言葉が重要な意味を持つのは、
- 医師の行為において刑法の「違法性阻却事由」を検討するとき
- 医師以外の者が行った行為が「医師法17条」に反するか検討するとき
くらいでしょうから、それ以外の場合には包括的にざっくり「医療行為」と言う言葉を使ってもニュアンスは通じるはずです。
ちなみに、厚生労働大臣が診療報酬の点数について文書を出したときには「保険診療に該当する行為全般を医療行為」とみなしていたようですし、 介護保険法案の国会審議の代表質問においては「医療行為>医行為」のようなとらえ方のように感じました。